今週のひとコマ・バックナンバー アルバム…2012年10〜12月掲載分

女神ジェシュタクのシンボル サジゴール
ルクムー谷は、ムンムレット谷と少し信仰の内容が違っている。ムンムレットでは、女神ジェシュタクの居場所は大きな柱で表わされるが、ルクムーでは木の板から2本の馬の首が突き出たシンボルが置かれている。この写真を見て、ムンムレット谷のカラーシャたちは「信じられない」といった顔をする。古い馬頭が隣りに朽ち果てている。[撮影:丸山純] ルクムー谷の奥にある、カラーシャの強力な神の祭壇・サジゴール。ルクムーだけで信仰されている。他の二つの谷では主神マハンデオが担う役割や行事の多くを、ルクムーではサジゴールが受け持つ。マハンデオより畏怖されているようだ。かぶせられた樫の枝で隠れているが、前面には小さな木彫の馬の首が4本、突き出している。[撮影:丸山純]
女神クシュマイのシンボル ジャッチ
ルクムー谷に住む、イスラームに改宗したカラーシャの青年に案内されて訪れた、クシュマイ神のシンボル。村の裏の小高い岸壁にひっそりとたたずんでいる。こういう雰囲気は、日本人にはなじみがある。しかし、あとでわかったのだが、クシュマイは果実の女神(転じて子育ても司る)である。これはどうみても男根で、クシュマイではないのかもしれない。[撮影:丸山純] クシュマイのすぐ近くにあったジャッチ。ジャッチは子育てに関係する神格の低い女神だが、これは明らかに女陰の形をしていて、女神のシンボルであると納得できる。[撮影:丸山純]
ビリウ谷グールー村 ワリン
カラーシャの住む三つの谷のうち、いちばん南にあるビリウ谷。その中央にあるグールー村は、崖にへばりつくようにして家が建てられている。他の二つの谷がほとんど同一の文化を共有し、互いに交婚も盛んであるのに、ビリウは言葉も、奉る神も、さらに女性の民族衣装も少し異なり、独自の文化を保っていた。近年は交婚も進んで、融合が進んでいるようだ。[撮影:丸山純] ビリウ谷でもっとも強力な神が、ワリン。ビリウの人たちは、マハンデオやサジゴールより格が上だと考えているようだ。ボロボロと崩れ落ちる岩肌に悩まされながら岸壁をよじ登り、やっとのことで尾根の上に出ると、2本の馬頭が突き出た祭壇があった。[撮影:丸山純]
ビリウ谷グールー村 夜踊り
ビリウ谷の秋祭り「プー」。ブドウの収穫を終えた後に開催される。最初の5日間は連夜踊りが催され、谷中の人々が集まる。この写真で注目したいのは、女性の被り物(クッパース)。1978年当時は、このようにとても幅の広いものだったが、現在で他の谷と同じぐらいになっている。他の二つの谷にはプーはない。[撮影:丸山純] カラーシャの秋祭り、プー。焚き火を囲んで、夜が更けるまで踊りは続く。アフガニスタンへと続く山の稜線はすっかり雪におおわれていて、吹き下ろす風が冷たい。[撮影:丸山純]
帽子作り ブダラックの踊り
ビリウ谷の秋祭りプーの最終日は、「ブダラックの祭り」という特別の行事がある。それに向けて、草を編んで帽子を作り、ビーズやバラの実などで飾り立てる。[撮影:丸山純] ビリウ谷の秋祭りプーの最終日は、「ブダラックの祭り」という特別な日になる。昔ビリウの各村では、子どもが一人も生まれなくなってしまった。そこである青年が山にこもり、乳製品や蜂蜜だけを摂取して誰にも会わずに半年間過ごした。そして、その男、ブダラックが村に戻って女たちと交わると、また子どもが生まれるようになったという。前日までに作ったバラの実で飾り立てた帽子をかぶって、晴れ着を着た女の子たちが踊る。[撮影:丸山純]
帽子作り 踊る子どもたち
ブダラックの祭りでくるくると回って踊る少女たちを、大人たちが笑顔で見守る。[撮影:丸山純] ビリウ谷のプーの祭りの最終日におこなわれる「ブダラックの祭り」。バラの実で飾り立てたとんがり帽子をかぶり、ラメ入りの服で着飾った少女たちが踊る[撮影:丸山純]

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